はっとして口を塞いだ。 しまった。 長い沈黙が襲う。 どうか聞こえなかったことにしてほしいと強く願ったが、その願いはすぐに打ち消された。 「あなた今先生って…。それにどうして私の名前」 やがて沈黙を破ったのは七瀬先生の震えた声だった。 「あなた。どうして私が教師だってこと知ってるの」 もう終わりだ。 目の前が真っ白になる。 食器を持つ手がカチャカチャと音を立てて震えている。 「やっぱり、あなたーー」 「おやすみっ」 俺は七瀬先生の言葉を遮り、足早に階段を降りた。