私は店の中に入り、入口に一番近い席に座った。
倉橋さんは、奥から冷たいお茶を入れて出て来てきた。
私が差し出されたお茶を一口飲むと、倉橋さんが話し始めた…
「あなたは今、大変な事に巻き込まれているわ。
この間も言ったけど、キーワードは家族ね」
「家族…ですか?」
「そう家族。
あなたとは、もう20年の付き合いになるから全て話すけれど…
家族に関係する事が、原因だと思う。
よく家族の事を考えてみなさい。答えは必ずそこにあるから…」
家族…
そういえば――!!
私はお茶を一気に飲み干すと、倉橋さんに深々と頭を下げた。
帰ろう自宅に!!
「小夜子ちゃん!!」
倉橋さんが、扉から出ようとした私を呼び止めた。
「今からが、本当の始まりだからね!!」
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