1人でゆっくり歩いて北山駅に着いた時、偶然倉橋さんが店の前に水を撒いていた。
「こんにちは!!」
私は近付くと、背後から声を掛けた。
倉橋さんは振り返り、笑顔で応えた。
「あら、こんにちは」
しかしその瞬間、倉橋さんの動きが止まった…
この雰囲気――
私に何かを感じ、霊視してる様な気がする…
何か嫌だなあ。
「何か嫌だなあ?」
倉橋さんから、笑みが溢れた。
「え…!?」
倉橋さんは、溜め息を吐くと言った。
「あなたとは、切っても切れない縁だからねえ…
本当はもう、他人の人生に余り干渉したくないんだけど――」
水道の蛇口を締め、手にしたホースを建物の裏に片付けると、私を店内に呼んだ。
店内には珍しく、帰宅途中の高校生も大学生の姿も無かった…
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