踏切りを渡り、坂道を登る――

毎日の事とはいえ、最後にこの坂を登るのは結構厳しい…



「姉ちゃん遅いよ!!
先に行くからな――」


「サトシ?」

私は坂道の途中で立ち止まり、顔を上げた。

蝉の泣き声と、西日に伸びる自分の影だけで、サトシの姿などどこにも見えなかった。


気のせいか…

今確かに、サトシが横を通り過ぎた様な気がしたんだけど。


坂道を登り切ると、背中が汗でビショビショになった。

玄関を開け中に入ると、洗面所に行き顔を念入りに洗った。


「ふう…サッパリした」


その時――


ガタガタ…

あれ?
2階から物音がしている…
もしかして、本当にサトシが帰ってるのかも知れない。


「サトシ?
ねえ、帰ってるの?」

私は呼び掛けながら、階段を上がって行った。


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