その時――

また、あの耳鳴りがし始めた!!


キィィィ――


鏡台が歪んで見えた。

「この恨み…
必ず…必ず………」


甲高い空気を切り裂く様な音と共に、耳鳴りが止まった。


さ、小枝子…

いや、あの日全てが終わり、姉はただの遺体になった筈だ。


鏡台に向かって、声を掛けてみる…

「さ、小枝子…小枝子!!」


鏡台は静かなまま、何の反応も示さない…

空耳だったのだろうか?
もしかすると、心の奥底にある罪悪感が、幻聴を引き起こしたのかも知れない…


「早く風呂入ってよ!!」

「す、直ぐ行く…」


納得出来ないまま、仕方なく私はその場を後にした――


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