一瞬、空間が少し歪んだ気がした――


携帯電話を見ると、なぜか圏外になっている!!

この家の中に、圏外なんてないのに。


不意に空気を切り裂く様な音がして、耳鳴りが止まった…

携帯の画面を見ると、電波表示が当然の様に3本立っていた。


今のは、一体何だったのだろう…

ふと携帯電話の画面に視線を落とすと、ハンドルネームが登録されていた。


【紗耶香】――


あ、あれ…
こんな名前登録したかな?

まあ、可愛い名前だし、考えるのが面倒だからこれで良いか。



その時、玄関から鍵を開ける音がした。

どうやら、母が帰宅した様だ。

「おかえり~」

「ただいま。
変わった事は無かった?」


母の決まり文句だ。


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