でも――
あの時、確かに誰かが私の背中を強く押した。
あの感じは…
そこに長谷部君が、慌てて駆け寄って来た。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫よ」
その時、会長の後ろで、私を見下ろすように立っている彩香に気が付いた。
光の無い瞳…氷の様な視線を、こちらに向けていた。
あ、彩香…?
その場は、注意不足により足を滑らせた事にした。
楽しい登山を、私一人の為に中止にする訳にはいかない…
しかしそれにしても…
ホームページの書き込みといい、メールといい…
そして今日の出来事。
誰かが何らかの理由で、私を狙っているとしか思えない。
それとも、別の何かがあるのだろうか…
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