電車の中は、まるで高校生の修学旅行みたいにうるさい。
少し離れた所に、彩香が座っている。
そしてなぜか、私の隣りには長谷部君が…
彼はなぜか、私に完全になついていた。
駅まで送ってもらった事あり、余り無下にも出来ない。
竜王駅で下車し、いよいよ竜王山に登る――
「行くぞ―!!」
先頭は会長以下男性が進み、中間は女性そして後方に数名の男性が補助する。
私は遅いので、女性陣の前の方…彩香は後ろの方だった。
夏の登山はいくら低いとはいえかなり辛いが、私は緑の中を歩く事が好きだった。
空気が澄んでいて、時折通る木陰がやけに涼しく感じる。
登山開始から2時間と少し…
唯一の難所と言われる岩盤地帯に入った。
難所とはいえ、登山道はしっかりしているし、余程の事が起きない限り危険はない。
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