急いで電車に乗り込み、私は反対側の窓から外を見た。


あ、あの老婆は!!

どんなに見回しても、その姿はどこにも無かった。


見間違いだったのか?


電車のシートにゆっくりと座り、大きい溜め息を吐いた。



北山駅に着いたのは、7:55だった。

今回のメンバーは総勢25名。この同好会にしては、よく集まった方だ。


「じゃあ、そろそろ行くぞ―!!」
蝉川会長が号令をかける。

今から下りの電車に乗り、隣りの高砂町に行き竜王駅で下車。そこから竜王山に登る。

登山とは名ばかりの、ハイキングである。


竜王山は標高420メートルの低い山で、ゆっくり登っても3時間もあれば十分に登れるらしい。


ただ――

途中1ヵ所だけ、岩盤が斜面に剥き出しになった、急勾配の難所があるらしいが…


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