10分程すると、外で車が停まる音がした――
玄関まで様子を見に行った順子の、話し声が聞こえる。
私も玄関に出向いた…
玄関には計画通り、順子の母親が順子を迎えに来ていた。
私はすかさず声を掛けて、再び強引にリビングに通す――
「せっかく来てもらったんだし、少し待ってもらう様になるから、上がっていて下さい」
「えっ…
で、でも迎えに来ただけだし――」
「まあまあ」
順子が手を取り、リビングに引っ張り上げた。
順子の母親を見た智子の母親は、思わず口走った。
「きょ、京子……
あ、川崎さん!!」
名前を呼んだ後直ぐに呼び変えたが、私達は聞き逃さなかった。
どうやらようやく、2人の母親も状況を理解した様子だった。
その時――
外でまた、車が停まる音がした。
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