私の顔は既に、涙でずぶ濡れだった。
ダメだ…
もう本当に、逃げる事すら出来ない。
女性はその様子を嬉しそうに見下ろすと、私の顔の真上に一番大きい包丁を構えた!!
小夜子、順子…
あなた達の為に、何も出来ないなんて悔しい――!!
その時――
外に車が止まる音がした。そして、玄関の扉が勢いよく開いた!!
「智子、大丈夫!?」
居間に、小夜子が飛び込んで来た。
「あはは、小夜子…
あんたドラマの、正義の味方ね。
危ない時には、必ず現れる……」
既に女性の姿はなく、私は刃物に囲まれた中で小夜子に抱えられ意識を失った――
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