「カルテに、患者の住所があるでしょ。
直接行ってみれば、良いんじゃない?」


確かに…
出来れば相手に直接会う事は避けたかったけど、もうそれしか方法が残っていない。

「そうだね小夜子、行ってみよう!!」



私達は一旦北山駅まで戻った。

そして駅のベンチに座ると、持って来ていたカルテを鞄から取り出した。


「え――住所はと…

北山市安曇野…結構不便な所だね」


「確かに…
タクシーで行った方が良いかもね」



北山市安曇野――


北山市と都野市の境に位置する山間の小さい集落で、公共交通機関は市営バスくらいしかない。

しかしそのバスですら、1時間に1本あるかどうかという地域だ。


私達は北山駅でタクシーに乗ると、カルテにある住所を目指した。


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