私達はそのまま、市役所を出た――
小夜子は不満そうに、私の肩に手を乗せて言った。
「おばさん、絶対に何か知ってる雰囲気だったのに…
何であっさり引き下がるのよ!!」
私は歩きながら小夜子の方を向くと、諭す様に答えた。
「小夜子…
仮に、おばさんがあの訴訟騒ぎに関わっていたとして、市役所のど真ん中で、私達に話せると思う?
それにあの反応…
かなり重大な、何かを知っているのよ。
焦らずに、話を聞き出した方が良いと思うんだよね」
「確かにそうだけど…
私達には、そんな悠長な事を言ってる時間はないのよ!!」
確かに小夜子の言う通り、私達にはそんなに猶予があるとは思えなかった。
だからと言って――
「そうだ!!」
小夜子が突然叫んだ。
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