「小夜子ちゃんに順子ちゃん、何か市役所に用事?」
「いえ……」
私は単刀直入に、話を切り出した。
「今、18年前の北山病院で起こった訴訟騒ぎについて調べてるんですけど…
当時おばさんが、健康保険課の受付をしてたと聞いたんですが?」
智子の母親は、誰が見ても分かる程に狼狽した。
「そ、そ…
そんな昔の事は、全然覚えていないわ」
この動揺の仕方…
明らかに、何か知っている。と言うよりも、何かに関わったのではないだろうか?
でも本人が否定する以上、何も話してはくれないだろう…
「そうなんですか…
まあ、それはそうですよね。随分昔の事ですし…
ありがとうございました。他を当たってみます」
私はあっさり話を切り上げて、帰る事にした。
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