女性職員は小夜子に近付くと、小声で言った。
「ここで騒がれると、私が困るから…
資料は無いけど、当時この課に勤務していた人は分かるから、少し待ってくれる?」
女性職員は、自分の席の後ろにある棚をゴソゴソと探し始めた。
そして、10分程して古い名簿を持って、小夜子の元に戻ってきた。
「18年前となると、配置換えや退職でこの課にはもう誰もいないみたいね…
あ、この人は当時の健康保険課で、今も市役所にいるわよ。
今の住民課の課長補佐…中崎さん」
中崎さん…
え、中崎さん!?
住民課に勤務していて中崎さんと言えば、智子の母親だ!!
「ありがとうございました」
私達は何度もお礼を言って、健康保険課を後にした。
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