「あの、すいません。少し聞きたい事があるんですけど…」

私が声を掛けるとその職員は、あからさまに嫌そうな顔で立上がり私の方に歩いて来た。


「はい、何の御用ですか?」

「北山総合病院の事について、なんですけど…」

そう言うと女性職員は、更に苦い表情を浮かべ聞いてきた。

「確かに北山総合病院はここの課が担当ですが、難しい事は直接あちらの事務所に…」


公務員の逃げ口上に、付き合っている暇はない。

私は直ぐに本題に入った。


「18年前の事なんですが、北山総合病院と訴訟騒ぎを起こした人が、こちらに何度も足を運んだと聞いたんですけど…

何か資料とか、何か残っていませんか?」


女性職員は怪訝な顔をして、吐き捨てる様に答えた。

「そんな古い資料が、残っている訳ないでしょう」


やはり、ある訳ないか…


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