仕事だと割り切っているのか、それとも同じ様な苦情が多いのか?
総合案内所の女性は行き先を、無表情で指示した。
「健康保険課に、とりあえず言ってくれって…」
小夜子が戻ってきて言った。
今は、余計な事を考えている場合ではない。
私達は旧館の1階にある健康保険課に向かった。
新館と旧館は屋根付きの、コンクリート造りの渡り廊下で繋がっていた。
旧館に入ると新館とは違い、建物も老朽化が進み何となく薄暗かった。
健康保険課は、渡り廊下を抜けたすぐ正面にあった。
窓口で応対している1名を除き、暇そうな職員が5人机に座っていた。
私はその中で一番年配の、少し太めの女性に声を掛けた。
若い人だと、まず18年前の事を知っている筈がないからだ。
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