北山市は特に産業がある訳でもなく、人口も10万人程度の小規模な都市だ。
市役所もそんなに大きい物ではなく、3階建の旧館と5階建の新館しかない。
私達はとりあえず、新館の正面玄関から入った所にある、総合案内所に行った。
総合案内所には、30代前半の白いブラウスを着た女性が座っていた。
小夜子がその女性の前に立ち、話掛けた…
「すいません。
あの、医療関係の苦情って、どこに言えば良いんですか?」
案内所の女性は、突然の意味不明な質問に戸惑った。
「はあ?」
それはそうだ。
聞いてる方も、よく分かっていないんだから…
「え―っと、ですね…
北山総合病院の医療体制について、苦情が言いたいんですけど」
小夜子が言い直した。
総合案内所の女性は淡々と、聞き返してきた。
「ああ、病院に対する苦情ですね?」
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