高山駅に着くと、いつも遅れて来る小夜子が先に来ていた。


「おはよう、珍しく早いね小夜子」

小夜子は、苦笑いしながら答えた。

「いやあ…
智子がなかなか納得しなくて、説得しに来てたのよ」

「うん…
自分だけ、仲間外れみたいだしね。

でも今日は2人の方が動き易いし、それに――」


今日は市役所。
智子の母親が勤務しているから、見付かると動き難い。


駅のホームに、北山駅方面行きの電車が入って来た。

「小夜子、急がないと乗り遅れるよ」

「はいよ」


私達は北山市役所に向けて、電車に乗り込んだ。


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