「う、嘘……」
「嘘じゃないわよ~
それで、あなたが病院に運び込まれた時にね~
もう脳の記憶を司る機能が、著しく低下していたからあ、治療ついでに、脳腫瘍も取って記憶を入れ替えたのよ~
大変だったんだから」
母はそこまで説明すると、テーブルに俯せになって眠ってしまった。
知らなかった…
私が脳腫瘍だったなんて――!!
それより、今の話が本当なら、私の為に全力を尽くしてくれた母…
私を気遣い、哀しい思い出を消去した父…
それでも、記憶を操作された事は許せない。
許せないけど…
私は母にタオルケットを掛けると、2階に上がった。
私は結局、2人の愛に包まれて、我儘を言い続けてきただけなのかも知れない…
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