母は私の顔を見ると、慌てて立ち上がった。

「さ、小夜子…
その傷はどうしたの?」


あ…
すっかり、傷を隠す事を忘れていた。

今更慌てて手で隠しても、間に合わない…


「あ…うん。
ちょっとね…」

直ぐに上手い言い訳なんて、出てくる筈もなかった。


母は心配そうに傷跡を確かめていたが、そんな母を見ていてふと思い出した。

「あのね…
今日、北山総合病院に行って来たんだ。
少し調べたい事があって…


それで、聞きたいんだけど、18年前母さんは順子の母さんと知り合いだったよね?」


その質問をした途端に、母の表情が一変した。


なぜ…?
知り合いかどうか、聞いただけなのに。

「じゅ…順子ちゃんのお母さんとは、小学校からの付き合いだから、15年位の付き合いかな?」


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