私達は、北山総合病院を後にした――
帰りのバスで明日の予定を話し合い、1時間おきにお互いメールをする事を決めて、帰宅する事にした。
万一メールが届かなかった場合は、お互いの自宅に行く事にしたのだ。
「また明日ね」
順子が先にバスを降り、私は終点の高山駅で下車した。
なぜか今日は、あの女性の気配が全くない。
息を潜めて、機会を伺っているのだろうか…
自宅に着いた時には、もう夕方になっていた。
車がある――
今日はどこにも、行っていないのか…
「ただいま…」
「おかえり…」
リビングから母の声がした。
リビングを覗くと、母はまた建築図面を睨んでいた。
「あ…
ごめんね、もう少しで終わるから」
そう言って母は顔を上げると、私の方を見た。
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