「うん…
その女性は確かに、私に言ったのよ。
『ずっと見ていた』って――」
「ずっと見ていた?」
「うん…
それに、順子がここに来る直前に、『あの女の娘』とも…」
順子は、目を閉じると少し考え込んだ。
恐らく、私と同じ事を考えているのだろう…
3分程沈黙が続いたが、私が先に口を開いた。
「多分、順子が考えている事は、私が考えた事と同じだと思う…」
順子が顔を上げて、私の顔を見た。
「そう――
これは、私達の問題ではなく、私達の親の問題なのよ!!」
ようやく分かった。
あの時、倉橋さん言った言葉の意味が…
重要な事は「家族」だと――
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