私はソファーの上で、無理矢理身体を起こした。


今はこんな事くらいで、寝ている場合ではない。

22時を過ぎているが、母はまだ帰宅していない様だ。


いや、私のこんな状態を見せる訳にはいかないから、むしろ帰宅していない方が良い。


「小夜子…
あんた大丈夫なの?」

心配そうに、順子が声を掛けてきた。


「うん…
でも今は、そんな事言ってる場合じゃないから」

そう言ってソファーに座ると、私は話しを続けた。

何とかしなければ私だけではなく、智子も順子もいずれ私と同じ運命を辿ってしまう…


「順子…
私の所に現れたのは、50歳前後の女性だった。

私はその女性が、2年前からの事件の元凶ではないかと感じたのよ」


順子が身を乗り出してきた。

「ど、どうして?」


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