「ねえ母さんって、あんな図面とか…見て分かるの?
あれって、建築図面か何かよね?」
母は夕飯の支度をしながら、普通に答えた。
「ああ、あれね…
母さんは若い頃、建設会社に勤めていたのよ。
一時は建築士になろうとして、一生懸命に勉強してたしね…」
初耳だ。
私が知らなかっただけなのだろうか?
「ふ―ん…
何で辞めたの?」
母は一瞬その場で動きを止めた…
「うん…
まあ、色々あってね…」
何かそれ以上聞けない雰囲気だったので、聞くのを止めた。
それから直ぐ食卓に料理が並び、夕飯の準備が整った。
「じゃあ食べましょうか」
「うん、いただきま―す」
暫く無言で夕飯を食べていたが、私はふと今日の事を思い出した。
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