私は坂道を登り自宅に帰って来た。
リビングの窓から灯が漏れて、道路に光が差している。母が家事でもしているのだろう…
「ただいま…」
返事が無い…
リビングの扉を開けると、母が振り返った。
「お帰りなさい。
ごめんね、少し集中してたから…」
机の上に何かを広げて、考え事をしているみたいだった。
「何してるの?」
そう言いながら机の上を覗き込むと、難しい図面が並んでいた。
「ああ、知り合いから少し仕事を頼まれて…
直ぐに、夕飯の用意をするから」
母は立ち上がるとダイニングに向かった。
私も母の後を追う様に、ダイニングに行った。
しかし、建築図面に見えたけど、母にあんなものが分かるのだろうか?
私は椅子に座ると、それとなく聞いた。
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