◇小夜子◇



「智子、帰ろう…」


私は憔悴し切った智子の肩を抱くと、石段をゆっくりと下りた。



まるで、悪夢の様な出来事だった…

当事者の智子には、精神的にも肉体的にも、相当な負担だった筈だ。


首塚の前を通りながら、二度とここに来ないと誓った。



既に薄暗くなった道を、智子の肩を抱いてゆっくりと歩く…

暫くそのまま黙って歩いていると、智子が口を開いた。


「ごめんね小夜子…


いつも心配ばかり掛けて…

いつも迷惑ばかり掛けて…」


私は智子の肩を、強く抱くと言った。

「何を言ってるのよ!!

2年前は私が助けて貰ったんだし…

それに、私達は親友なんだから当然の事よ!!」


その言葉を言い終わると、智子の肩が小刻みに震え始めた…


「馬鹿ね…
本当に気にする事はないのに……」


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