男性は軽く頭を下げた。
「私は北山総合病院で、川崎脳神経外科部長の下で勤務している、竹下と言います」
母の部下…
なぜこんな所で、私を待っているの?
「それで…
その北山総合病院の医者が、私に何の用なんですか?
私は急いでいるんですけど…」
彼は、私の目をしっかりと見据えて話し始めた。
「それが…
私は今日、休日勤務で病院に出ていたんです。
すると部長が昼前に突然病院に現れ、長年研究してきたデータを処分し始めたんです…
理由を聞いても詳しい事は教えてもらえませんし、ただ小さな声で独り言を…
『私は娘を失ったかも知れない』と」
母が研究データを処分…
それは私が原因だ。
.



