私は電車の中で、自分を精一杯奮立たせた。
泣くのは、全てが終わってからにしよう。
今は私や智子同様に、「有り得ない圏外」に襲われた小夜子の様子を、見に行かなければ…
小夜子は、私が救わなければならない。
電車が高山駅に到着した。
改札を駆け抜け、小夜子の自宅に向かおうとした時、若い男性に声を掛けられた。
「あの…順子さんですよね?」
呼び止められた私は、その男性の方を向いて立ち止まった。
その男性を上から下まで見るが、全く記憶にない。
「どちら様ですか?」
その眼鏡を掛けた細身の男性は、慌てて名刺を取り出した。
「北山総合病院…脳神経外科医師?」
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