そう――

それに、あの時茜さんは確かにこう言った…

「圏外になった」と。


圏外…

私は得体の知れない、何かの存在を感じていた。



突然、茜さんが自分のポケットに手を入れ、カッターナイフを取り出した!!

「あ、茜さん?」


茜さんはカッターナイフを、自分の手首にあてて言った…

「私のした事は、決して許される事ではないわ…

その罪の償いは、私が――!!」


私は慌てて茜さんに駆け寄り、カッターナイフを持った右手を強く握った。


「茜さん…

もう終わりましたから…悪夢は終わりました。

私は大丈夫です。
もう終わりにしましょう…


誰も悪くないんです。誰も……」


茜さんはカッターナイフを放し、その場に泣き崩れた。

私は茜さんを強く抱き締め、2人は静かにその様子を見詰めていた――


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