彼は地面に爪を立て必死に抵抗しているが、ズルズルと穴に近付いていく――


「ね、姉さん!!
俺は弟だろ、助けてくれよ!!

なあ、助けてくれよ!!」


彼の悲痛な叫び声だけが、静まり返った境内に吸い込まれていく。

そして猫は彼を咥えたまま、穴に飛び込んだ!!


私はその光景を、ただ呆然と見ていた…
2人も、ただ立ち尽くすだけだった。


「うわあ―――!!」

茜さんは俯いて、弟の断末魔を聞いていた。



暗闇が辺りを包み、地の底から鈍い音を響かせ穴が消えた――


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