私は急いで自宅に帰ったが、帰宅すると21時になっていた。
私の両親は、毎日きっちり18:30には自宅に到着する。公務員ならではだ。
兄はその両親の背中を見て育ったせいか、去年電力会社に就職し、遠方の営業所に配属になっている為にいない。
「ただいま…」
「おかえり。
ご飯は台所の机の上にあるから、勝手に食べてね」
居間から母の声が聞こえる。
鞄を置く為に階段を上がり、自分の部屋に向かった。
狭い急な階段を上がった左側が私の部屋、右側が兄の部屋だ。
6畳の部屋にベッドと机、タンスを押し込んだ部屋は決して広くはない。
だけど、この狭い空間が好きだった。
後から入れたベッド…
その奥の今は使っていない小さな押し入れには、一体何を入れていたんだろう?
全く記憶がない…
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