◇小夜子◇



高山駅に、下りの電車が入って来た。

それとほぼ同時に、2人の女性が走って改札を抜けて来る様子が見えた。


「順子!!」

「小夜子!!
で、智子はどこ?」


私は首を横に振り、順子の両肩を揺すりながら答えた。

「どうしよう…
またあの時みたいに!!」


順子は自分の肩に掛けられた両手を握ると言った。

「大丈夫!!

いざとなれば、私達がいるじゃない。
それより、早く智子を探さないと」


私のの目に、順子の後ろに立つ女性が映った。

「この人……」

「あ、茜さん?
一緒に探してくれるって。

とりあえず、智子の自宅に行ってみよう!!」

「行こう!!」


私達は、智子の自宅に急いだ――


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