「あ…
あ、あそこで私が見たものは…
た、倒れている2人の姿だけよ…」
「そうですか…」
何か新しい事実が分かるかも知れないと期待していたが、茜さんも知らないらしい。
でも…
知らない方が良い事なのかも知れない。
それに、現在の生活に不満がある訳でもないし…
もうこの事は、私の胸に秘めておけばそれで――
私は一生懸命、自分にそう言い聞かせた。
私はそれから1時間程手伝って、家路に着いた。
帰宅すると19時を過ぎていたが、まだ誰も帰ってなかった。
「ただいま」
「おかえり…」
え――
誰もいない筈なのに!!
玄関に座って靴を脱いでいた私は、思わず振り向いた。
ガンッ
その瞬間、目の前が真っ暗になった。
「あなたは、私にこうやって、何度も殴られたのよ!!
あははははは!!」
ガンッ
ガンッ――…
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