私はファイルを持ったまま、前のめりに倒れ込んだ…


「思い出した?

ねえ、思い出した?


後頭部を殴れば、思い出す筈なのにね!!

ふふ…
あははははは!!」


薄れ行く意識の中…

母に私がファイルを見た事が分からない様に、ファイルを戻して倉庫から這い出ると、自室の床に倒れ込んだ。


「順子…

あなたの哀しみと、あなたの苦しみ…

それが私の、一番欲しいものなのよ!!」

その声を聞きながら、私は意識を失った。



目が覚めると、私はベッドの上で寝ていた。


夢だったの…?


起き上がると、後頭部に鈍痛があった。

その痛みが、現実だったのだと私に教えた。



失った記憶…

小枝子よりも、その方が気になって仕方なかった。


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