座席に座り鞄を膝の上に乗せると、なぜか鞄の中が気になった…
何気なく鞄の中を覗くと、鞄の隅に写真らしき物が入っていた。
写真など、入れた記憶がない…
鞄に手を入れ、中から取り出した。
私を真ん中に、母とあの写真で見た細身の男性が写っていた。
それにしても、なぜ鞄の中に入っていたのだろうか?
それより――
この男性は誰?
なぜ3人で写っているの?
その時、あの激しい頭痛が襲ってきた!!
誰だろうあの人?
思い出そうとすればする程、頭痛が酷くなった。
「…――本町本町、御下りの際は……」
本町駅に到着すると、私はこめかみを押さえながら電車から降りた。
「痛たたた…」
ダメだ、考える事を止めよう。
私は写真を鞄の奥に突っ込むと、大学へと向かった。
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