◇智子◇



私は大学に向かう最後の坂道を、息を切らせながら登っていた。


林に挟まれた道幅5メートル程の、急勾配の道…大学に辿り着く最後の難関。

一体誰がこんな山の上に大学を作ったのだろう。


大学の門を潜ると、目の前にある時計台は17:50を指していた。


これなら間に合う!!


歴史が古いだけに、薄汚れたコンクリートの校舎と所々タイルの剥げた茶褐色の廊下…

その廊下を必死で走り、私は1号棟の会議室を目指した。



会議室の前に到着し、急いで白い扉を開けた。


「おお――!!

中崎ギリギリセーフだな。適当にその辺りに座れ」



登山同好会――

文字通り同好会である為、他のクラブが使用しない時間しか会議室の使用が認められていない。

その為、いつもミーティングは妙な時間に行われる。


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