◇順子◇



高山駅の改札で小夜子と別れると、私は急いで自宅に向かった――


同じコンビニでバイトをしてる涼子に、CDを貸す約束をしていた事をスッカリ忘れていた。


駅前通りを渡り、自宅へ急ごうとしていると声を掛けられた。

「順子ちゃん!!」

誰?
もうバイト遅れそうなのに!!

私は少しムッとして振り返った。


あ――…

「茜さん!!
どうして、こんな所にいるんですか?」

斉藤 茜さん…
去年の事件の時、私の生命を救ってくれた人だ。


「うん…
昔、この辺りに住んでいた事があるの。1年位なんだけどね…

何か懐かしくなって、来ちゃったんだよ」

「へ―、そうなんですか」


あ…
急がないと、このままだとバイトに遅刻する!!

「あ、茜さん、今日はちょっと急いでるので…

また近いうちに、お昼ご一緒して下さい!!」

「あ、うん。
またメールしてね」


茜さんと別れると、全力疾走で自宅に帰った。


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