私は涙を流すだけで、どうする事も出来ない…
その様子を見て、老婆は聞き取れない程の小さな声で呟いた。
「まだじゃ……」
その時――
「ただいま」
母が帰って来た。
「智子、あなたカーテン閉め切って、鍵までかけて何してるの?
早く開けなさい」
気が付くと、老婆の姿はもうどこにも無かった。
「あ…
う、うん……」
這う様に扉に向かうと、鍵を開けた。
「全く…
カーテン閉めるのは、少し早いんじゃないの?」
母がカーテンを開けた。夏だけに、まだ外は明るかった。
時計を見ると、まだ17時30分を少し回った頃だった。
もう私は精神的に、限界だった。
そうこれは…
中学生の時、クラスでいじめの的になっていた時と同じくらいに――
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