老婆は鼻の頭まで掛かった白髪の奥から、鋭く暗い瞳で睨み付けながら立ち上がった。

「ここは首塚…
手を合わせても無駄じゃ。


首を…
首を置いていけ!!」


よく見ると、右手にカマを持っている!!

老婆は曲がった腰のせいか、前屈みになりながら少しずつ私に近付いて来る――


背筋が凍りつき、汗が一瞬で冷たくなった。

余りの事に私は声も出せず、足がもつれながらも必死で来た道を走った!!



やっとの思いで通学路まで戻り、私は恐る恐る振り返った。

老婆の姿はどこにも無い…


今のは一体、何だったのだろう。

あの老婆は…



自宅に辿り着くと、既に両親が帰宅していた。

もう軽はずみに、心霊スポットには行かない事に決めた…


.