3人は座ったまま黙って考え込んでいたが、当然の様に答えが出る筈もなく、店を出る事にした。


「はいありがとうね。

まあ、3人ではどうしようもない時は私の所においで」

「お願いします…」


順子が暗い表情をして、今にも消え入りそうな声で言った。

順子にしてみれば、去年生死を彷徨う事件に巻き込まれたばかりだから、切実だったに違いない。


でも…
この3人のうち、事件に巻き込まれていないのは私だけ。

本当に危ないのは、私の様な気がしてならなかった。


口にしてしまうと現実になりそうで、とてもそんな事は言い出せなかった…



3人は店を出ると、駅の反対側にあるカラオケボックスに行く事にした。

私以外の2人も、今聞いた事もさっきの圏外も、何もかも忘れたかったに違いない。


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