「…美空…っ」 「へ」 ぐいっと顎を持ち上げられる。 「ごめん」 「な……―――!」 雨のせいか、冷たい奏太の唇があたしの唇に触れる。 「ん…っ、ふ、ぁ…ッ」 あたしの髪の間に、奏太の指が差し込まれ、ゾクッとした。 「は、んんっ…」 噛みつくような、野性的な。 吐息が重なる。 「は…っ」 奏太。 あたし、見たよ。 なんで、そんな悲しそうな瞳(め)をしたの? 奏太は今、何を思ってる?