「ねぇ、奏太…っ」


あたしは小走りになって追いかける。


いつの間にか、教材室に近い、人通りの少ない廊下に来ていた。


「はや…っ、奏っ…!」


奏太はくるっとこちらを向いて歩いてくると、その場に本を置いて、あたしを壁に押さえつけた。


「奏、太」


「悪いか」


ぼそりと呟くような一言。


「え…」


「照れてちゃ悪いかっつーの!」


「奏太…?」


奏太は小さく舌打ちすると


「もう、黙れよ」


そう言って、あたしの口を封じた。


「っ、ン…!」



いつもより強引なキス。



「は、ぁ…奏…っ」


深く、深く。



「ばか美空…っ」




心の中に、君は。