――キーンコーン…


その時間のチャイムが鳴る。


「係のやつ、これ教材室に運んどいてくれ」


先生は、教卓に置いてある五冊ほどの分厚い本を指差す。



てか、係あたしだし。



「奏太、行こ」



「ん」



奏太は何も言わずに三冊持つ。


「多いけど、いいの」


「別にヘーキ」



「…、ありがと」


「別に…」


あたしが礼を言うと、そっぽを向く。



ほんのり、いつもより耳が赤い。



「…照れてる?」



「っ!?

ば、ばかじゃねえの…っ!」


そのままスタスタと歩き出す奏太。


「ちょ、待ってよ!」


あたしも急いで追いかけた。