「冗談ですよー」


笑いながらドライヤーごしでも聞こえるように大きい声で言った。

それでも聞こえなかったのか返事はこなかった。

とりあえず気にしても何にもならないので、ザキさんの髪の毛を乾かすことだけに神経をそそぐ。

あらためて見るザキさんの髪の毛はとっても綺麗な黒い髪。

時々混ざっている群青色がアクセントになっていて見栄えがいい。

顔も…伊佐木先輩ほどじゃないけど整っていてモテるんだろうと確信した。

…って何やってんだ私。

自分に呆れてドライヤーのスイッチを切る。

ドライヤーはブォンと音を立てて風を起こすのをやめる。


「…終わった?」

「終わりましたよ」




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