「何してんねん。びっくりするやろ」
この声はあいつだ。
でも顔が上げられず、視界は真っ白なままだ。
長くそのままで、そろそろ息苦しくなってきて、声の主、修二の胸板を軽く押した。
「ビビるわ、落ちそうやったやん!」
寿司屋で見かける、白い服を着た修二が顔をしかめている。
「助けてくれなくても大丈夫だったよ」
僕も同じように顔をしかめる。
そう、別に来てくれなくたって、何とか持ちこたえていたと思う。
落ちたとしても、こんな小さなジャングルジムからじゃたいした怪我もしない。
「アホか……骨折れたりしたらどーすんねん!」
「だからそんなことになんないって!」
「なるもんはなんねん!」
修二は顔を真っ赤にさせ、呆れた様子で二、三歩に倒れている自転車を起こした。
そういえば、初めて見たかもしれない。
修二のバイト服。


