キミヲモイ。



「そう言った君の背中を――」



その声を合図としたかのように、体勢が見事にぐらつく。

さっきまで閉じていた目は反射的に開き、視界をクリアにする。


大丈夫だ。

まだ、前に、鉄筋があるから、倒れてもたぶん落ちないですむ。


「ユウ!」


そんな考えが浮かんだと同時に、下から手首を引っ張られた。


「あっ――」


驚いて、情けない声を出してしまう。

また、反射的に閉じた目。

でも、ドスッという音と、おぼつかない地面の感触はわかった。

目を開くと、青いジャングルジムじゃなく、ただただ真っ白な世界。

倒れてるはずなのに、なぜか立ち姿勢をギリギリ保っている。

引っ張られた僕の腕はしっかりと肘が曲がっていて、背中の暖かみから抱き寄せられているのがわかった。