キミヲモイ。


アズちゃんは右側を下にして、目をつぶっていた。

ぐったりとしていたけど、小さな右手はしっかりと風船を掴んでいた。



いきなりのことで驚き、僕は公園から飛び出してすぐに母さんを呼びに行った。

母さんは家の前で、アズちゃんの母さんと話していた。


僕は涙を流し、息切れながら事情を伝えると、二人とも走って公園に向かった。


公園に着くと、ジャングルジムの前で倒れてアズちゃんは居なかった。

周りを見渡すと、茶色い古びたベンチに座っていた。


ピンクの風船を、左手で持って。



「大丈夫!? 怪我は!?」

「大丈夫、平気だよー」


アズちゃんの母さんはすぐ駆け寄り、肩を抱いた。

アズちゃんはいつものように笑っていたけど、ブラーンとたれ下がったような右腕はとても平気そうには見えなかった。