2人の唇が初めて重なった。


檸檬のような、甘い味などしなかった。


甘い香りもしなかった。


したのは、直前まで隼人が飲んでいたコーヒーの味だけ。


だけど、そのほろ苦い味が恋の味なんだと思った。


甘くなんかなくたっていい。


私はこの瞬間を知るために産まれてきたんだと素直に思えたから。


つらくても、苦しくても、いい。