刑事は私の前にそっとハンカチを差し出した。 それで初めて私は自分が涙を流していることに気が付いた。 あの時のように。 だけど、あの時みたいな幸せな涙じゃないんだ。 どうしてだろう。 隼人はいないんだ。 もう抱きしめてくれないんだ。 もう、好きだよって言ってくれないんだ。 「…すみません」 刑事からハンカチを受け取り軽く目を押さえた。 でも、目はつぶらなかった。 目を閉じてしまうと、隼人の優しい笑顔を思い出してしまうから。